婚姻中は夫婦が相互に助け合う「夫婦扶助義務」がありますが、離婚後はこの義務は消滅します。
ですが、例えば婚姻中は夫が収入を得、妻が家事や子育てを担っていた、というような場合、財産分与を考慮しても、離婚後の妻の生活に不安が生じてしまうこともあります。
これを配慮して、妻の生計の維持のために夫が一定の負担を担うことがあります。これを、扶養的財産分与といいます。
扶養的財産分与が検討される例
結婚して20年以上になります。結婚後すぐに生まれた子どもに障害があったため、子育てに専念してきましたが、夫の浮気が発覚し、離婚をすることになりました。
まとまった額の預貯金はなく、離婚後に仕事を探すにしても、20年以上のブランクがあるため生活をしていける収入を得られる仕事が見つかるかどうか、とても不安です。
一方、夫はサラリーマンとして安定した収入を得ています。
この場合、離婚後も扶養的財産分与として、一定期間生計を維持できる額を支払ってもらうことを検討してもよいでしょう。
扶養的財産分与が認められるかどうかの判断基準
扶養的財産分与が認められるかどうかは、次のような事情を総合的に考慮されます。
1.財産分与の額・離婚慰謝料の額
十分な財産をもらうことができるなら、扶養的財産分与の必要性が認められません。
2.請求者の状態
年齢・健康状態・学歴や職歴など再就職の可能性・親族からの援助の可能性・子どもの有無など
3.相手方の資力
相手方の年齢・勤務状況や収入・負債の有無など
4.その他
離婚の有責性や婚姻期間など
扶養的財産分与が認められる期間はどのくらい?
どのくらいの期間、という具体的な定めはなく、裁判になったときには裁判所の裁量が大きいです。
一般的にいうと、「困窮から脱出できるまで」といえます。
まとめ
収入を得る手段のない専業主婦などは、離婚後、経済的に困窮してしまうことが多いです。
対して、安定した職に就いている男性が、経済的に困窮することは少ないでしょう。
このような場合に、生活扶助の目的で、一定期間生計を維持できる程度の額を支払うことを「扶養的財産分与
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