離婚の約9割を占める協議離婚とは、どんなものでしょう?

協議離婚は、離婚届を提出すれば成立する最も簡単な離婚の手続きです。離婚の理由がどんなものでも、夫婦が離婚に合意すれば成立します。

離婚の際の条件も、夫婦ふたりで自由に決められます(代理人が間に入って交渉をすすめるケースもあります)。

必要なことは、離婚届に証人2人に署名してもらうことと、未成年の子どもがいる場合の親権者を決めることくらいです。

このように、協議離婚には面倒な手続きも特別な費用もかかりません。そのため、一刻も早く別れたいという気持ちが先走って、しっかりとした取り決めをしないまま離婚届を出してしまうケースも多くみられます。

協議離婚のメリットとデメリット

【メリット】

  1. 簡単:手続きが簡単。離婚届を役所に出すだけです。
  2. 迅速:話し合いがスムーズにいけば早く離婚できます。
  3. 安い:離婚自体には、費用がかかりません。

【デメリット】

  1. 話し合いがこじれるといつまでたっても離婚できず、かえって時間がかかってしまうこともあります。
  2. 感情的になって、離婚条件をしっかり決めずに離婚してしまうこともあります。
  3. 離婚の条件があいまいだと、離婚後にトラブルになることがあります。

協議離婚では、話し合った内容を必ず書面(離婚協議書・公正証書)に残しましょう

離婚後に話し合いの場を持つことは、とても難しいものです。そのため、離婚をする前にいろいろなことを決めておくことが大切です。

具体的には、財産の分けかた、慰謝料、親権、養育費など、ひとつひとつ決めていきます。口約束だけだと後々のトラブルが起こりやすいです。特にお金に関する取り決めがある場合は、文書にしておくことを強くおすすめしています。

まず、少なくとも作成してほしいのは「離婚協議書」です。

離婚協議書を作っておくことで、後になってから「言った言わない」で揉めることを防ぐことができます。

離婚協議書には、決まった形式はありません。極端な例では、チラシの裏に手書きで書いたものでも、作成日と夫婦の署名捺印があれば有効です。

ただし離婚協議書には「法的な強制力がない」という大きな弱点があります。そのため、「養育費が滞った」「分割して支払ってもらっている慰謝料が滞った」というような場合に支払いを強制したいと思ったら、裁判所への申し立てが必要になります。つまり、長期に渡るお金の支払いがある場合には、離婚協議書だけでは心もとないのです。

特に養育費をイメージしてみてください。毎月の支払の滞りは、お子さまの学費や生活費にダイレクトに影響してきます。なるべく早くに支払ってほしいと思っても、お子さまを育てている親権者が、平日の昼間に裁判所での手続き等に行くのは大変ですし、手続きのストレスも大きいです。

そこで、おすすめなのが「公正証書」です。公正証書を作成しておけば、支払いが滞ったらすぐに強制執行を申し立てることができます。

公証役場に行くのも面倒、公証役場に支払う手数料もかかる、行政書士に依頼したらそのお金もかかる。時間もお金ももったいない・・・

そうおっしゃるかたもいらっしゃいます。ですが、公正証書の強い法的効力のメリットを考えて、前向きに検討していただきたいと思っています。

なぜなら、2~3回の支払いで養育費が止まってしまう、というのは珍しくないからです。養育費が最後まで支払われるケースは、とても少ないのが現状です。そして、養育費をもらっていなかったり、ストップしてしまって、シングルマザー家庭が困窮するケースは社会問題になっているほどです。後になってから「公正証書さえ作っていれば、お金のことで子どもをこんなに不安にさせることはなかったのに」と後悔するケースが後を絶ちません。

分割の慰謝料や養育費の支払いなどは長期間に及びます。最初は「きちんと払う」と思っていた方も、途中からは当事者意識が薄れがちです。再婚やリストラなどで生活環境が変わって、ついつい支払いを渋るようになってしまうこともめずらしくありません。

養育費は子どもが健やかに成長するための権利です。公正証書にするには確かにお金がかかりますが、そのお金と引き換えに、養育費という子どもの権利を失うことにもなりかねません。お子さまが、家計に遠慮をせずに健やかに成長するためには、夫婦の金銭的な支えが必要です。お子さまが養育費をより確実に受け取れるよう、公正証書を作成しておかれることをおすすめいたします。

まとめ

日本の離婚の約9割が協議離婚です。

協議離婚では、夫婦で離婚の条件をしっかりと話し合い、決めたことを書面に残すことが大切です。

最低でも「離婚協議書」、お金についての取り決めがある場合は「公正証書」にしましょう。

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