民法で認められている離婚事由は、次の5つです。

1.相手が不貞行為をしたとき

2.相手から悪意で遺棄されたとき

3.相手の生死が3年以上明らかでないとき

4.相手が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき

5.その他婚姻を継続しがたい重大な事由があるとき

1から4は具体的に説明しやすいのですが、5は、とてもあいまいな表現なので、いろいろな状況が考えられるため、一概には答えられないことが多いです。何が「婚姻を継続しがたい重大な事由」にあたるのかは、一概に決められないので、裁判が起こされた場合には、裁判所は個々のケースを総合的に判断していきます。さまざなまケースを紹介していきます。

暴力や虐待

DVがあるときには、何よりもご自身の安全確保を優先してください。弁護士・警察・役所・社会福祉事務所などに一刻も早く相談しましょう。

パートナーからの暴力は、許されない不幸行為です。暴力を証明することができれば、離婚が認められます。また、自分の親や連れ子に暴言や暴力が行われている場合にも、そのことにより家庭の平和が乱されている場合には、離婚原因になります。

たった一度の暴力でも、それが離婚原因になることはあり得ます。

虐待については、定義ははっきりとはしていませんが、継続的に暴力行為その他の行為又は暴言などによって、身体的精神的に痛めつけること、と考えられています。

具体的には、身体的な虐待・精神的な虐待・性的な虐待・ネグレクトなどがあるとされています。

精神的な虐待とは「誰のおかげで生きていけると思っているんだ」などと威圧したり、無視したり馬鹿にしたりして、心を傷つける行為を言います。精神的な虐待についても、暴力と同様に、原則として離婚原因になると考えられています。

性格の不一致

一般的に、性格がぴたりと一致することは考えにくく、夫婦は、性格や考え方のある程度の違いは受け入れるものと考えられています。

しかし、実際に家庭裁判所に申し立てられる離婚事件の半数以上は「性格が合わない」という理由です。一番多い理由ですが、それだけの理由では、裁判での離婚は難しいです。

浪費・多額の借金

夫婦は、日常生活を行う上で、お互いに協力する義務があります。金銭的にも、夫婦二人が同じレベルの生活を送るように、協力しなくてはなりません。

けれど、夫婦どちらか一方が生活費を使い込んだり、ぜいたくなものに浪費したり、ギャンブルなどで多額の借金をしてしまったり、という場合は、夫婦ふたりで築く共有財産に影響を及ぼします。

浪費や借金が離婚原因になるかどうかは、夫婦の収入・借金の額・借金の原因・その使い道などを総合的にみて、判断されます。

親族との不和

典型的な例は、夫の両親と妻の不和です。

不和があるという理由だけでは、婚姻関係が破綻したとは認められにくいです。けれど、夫が、その不和を傍観するばかりで、仲を取り持つよう努力をしなかった、という夫の態度が理由で、夫婦関係の破綻につながった、ということはあります。

性生活

婚姻後、正当な理由がなく長年にわたり性交渉がないことは、原則として離婚原因となる可能性が高いです。

宗教

宗教については、憲法で「信仰の事由」が認められているので、基本的には離婚原因になることはありません。

ですが、相手にも度を越して入信を強要したり、宗教施設等に行って帰ってこないなど日常生活が送れないくらいに宗教にはまってしまうと、婚姻生活は破綻していると判断されることがあるでしょう。

刑事事件を起こした

相手が刑事事件を起こしたことが原因で、もう一方が婚姻生活を続ける意思を失った場合には、婚姻生活を継続しがたい重大な事由がある、として、離婚が認められる場合があります。

一方が刑務所に収監された結果、残された家族の生活が困窮したような場合も同様です。

モラハラ

モラハラ、モラルハラスメントとは、精神的な暴力のことをいいます。

肉体的な暴力は分かりやすいのですが、モラハラは「何かモラハラにあたるのか」の定義があるわけではなく、区別が難しい面があります。

裁判になった場合は、相手にモラハラがあったというだけでは、ただちに離婚原因と認められることはありません。モラハラとされる行為や態度によって婚姻関係を継続しがたい事由がある、と客観的にと認められるかどうかがポイントです。

まとめ

裁判で離婚を争うには、法律が定める離婚理由があることが必要です。

そのひとつの「婚姻を継続しがたい重大な理由」には、たくさんの理由が含まれます。

これにあてはまるかどうかは、婚姻生活が修復不能でお互いに婚姻を継続する意思がない状態をいいます。これを「破綻主義」といいます。

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