パートナーに発達障害がある場合の離婚率は、そうでない場合の2倍とも3倍とも言われています
「夫婦のどちらか、または一方が発達障害の場合の離婚率は、そうでない場合の2倍とも3倍ともいえる」。
これはアメリカのデータなので、社会的・文化的な背景は違う日本にもそもまま当てはまるとはいえないでしょう。
ですが、個人的な体感では、かなり実態に即した値なのではという印象です。
発達障害とは
発達障害とは、生まれつき脳にみられる働きかたの違いにより、幼児のうちから行動面や情緒面に特徴がある状態のことを言います。そのため、養育者が育児の悩みを抱えたり、本人が生きづらさを感じたりすることもあります。
発達障害はひとりひとりあらわれ方が異なり、さまざまな特性を併せ持っている人もいますが、大きく分けて、次の3つに分類されます。
自閉症スペクトラム症(ASD)
コミュニケーションの場面で、言葉や視線、表情、身振りなどを用いて相互的にやりとりをしたり、自分の気持ちを伝えたり、相手の気持ちを読み取ったりすることが苦手です。また、特定のことに強い関心をもっていたり、こだわりが強かったりします。感覚の過敏さを持ち合わせている場合もあります。
「自閉症スペクトラム症」は、もともと「広汎性発達障害」とよばれていました。しかし、2013年にアメリカ精神医学会の診断統計マニュアルDSM-5で「自閉症スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害」という名前に統合されました。
この障害名には、それまで「自閉症障害」「高機能自閉症障害」「アスペルガー症候群」などと呼ばれていた障害がすべて含まれます。つまり、DSM-5では、これらの障害は別々のものではなくスペクトラム(連続した)障害であるととらえています。
※当事務所のホームページ及び相談案件では、個々のケースの当時の診断である「アスペルガー(症候群)」という名称を用いています。
注意欠如多動症(ADHD)
発達年齢に比べて、落ち着きがない、待てない(多動性-衝動性)、注意が持続しにくい、作業にミスが多い(不注意)といった特性があります。多動性−衝動性と不注意の両方が認められる場合も、いずれか一方が認められる場合もあり、その強弱も人によって異なります。
学習障害(LD)
全般的な知的発達には問題がないのに、読む、書く、計算するなど特定の学習のみに困難が認められる状態をいいます。これらの困難は重なり合うことも多く、あらわれ方の強弱も個人差があります。
近年、自閉スペクトラム症の人は約100人に1人いると報告されています。性別では男性に多く、女性の約4倍の発生頻度です(厚生労働省 eヘルスネット:ASDについて)。
政府広報オンラインhttps://www.gov-online.go.jp/featured/201104/より
発達障害、アスペルガー症候群については、社会的認知も進み、ネットや書籍での情報収集もしやすくなってきました。当事者や家族でなくても、こういった言葉を耳にしたり、どんなものかなんとなく聞いたことがある、という方も増えています。
ただ、書籍等で得られる情報はあくまで一般的なものです。凸凹のあらわれかたはさまざまで個人差が大きいので、自分の身近な人に当てはまるものばかりではないでしょう。
また、この特徴があるからアスペルガー、というように短絡的に結びつけることもできません。
発達障害のパートナーとの生活では、マイナス面にばかり目が行きがちです。そもそも、当事務所に相談に来られる皆さまは、その時点でパートナーとの関係性に悩んでいる方ばかりなので、発達障害をネガティブにしかとらえられないという方がほとんどです。 ですが、凹もあれば凸もあるのが発達障害。凸の部分にも目を向けてみると、すばらしい記憶力や芸術面の才能、ユニークな思考力など、パートナーの得意な部分も同時に見えてくるはずです。
発達障害のあるパートナーとの生活には、さまざまな軋轢や困難が生じがちなのは、事実です。「お互いに」歩み寄ったり、妥協したり、工夫を重ねたり努力したりしていく必要があります。そして、その変化はとてもゆっくりです。
発達障害の凸凹も含めて「丸ごと」受け止め、パートナー「らしさ」を受け入れることができるか、同時に、当事者が「自分の特性を理解したうえで、パートナーとのすり合わせを受け入れられるか」。
お互いにとって忍耐と受容と包容力をもって、寛容な心でお互いに接することができるか。
これが、発達障害に関わる夫婦関係のキーだと思います。
幸せになるための離婚
お互いに歩み寄ろうと前向きに頑張ってきても、思い描いていた結果にならないこともあります。
そうなっても、自分を責める必要はありません。
「これ以上一緒にいるのは無理だ」と思っても、そう思ってしまうのは悪いことではありません。自分のせいだと思ってしまうかもしれませんが、誰のせいでもないのです。
どんな夫婦にも、最終的に離婚という選択をせざるを得ないことはあります。
離婚にあたっては、今までの関係にしっかり向き合い、気持ちの区切りをつけたうえで自分とパートナー、そして子どもの未来を考えましょう。
まとめ
発達障害に関わる離婚は多いのが実情です。
夫婦関係の修復を目指しても、最終的に離婚という選択をせざるを得ないこともあります。そうなっても自分を責める必要はありません。誰のせいでもないのです。
離婚にあたっては、今までの関係にしっかり向き合い、気持ちの区切りをつけたうえで自分とパートナー、そして子どもの未来を考えましょう。
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