離婚届と、脱・はんこ
国が推し進めている「脱・はんこ」。
将来的には、役所に行かなくても、ほとんどの手続きがスマホひとつでできる社会を目標としています。この流れは、世界中で起こっていて、世界で一番電子化が進んでいる「エストニア」には、各国からの視察団が毎日のように訪れているのだそう。
日本でも、今まで押印が必要だった行政手続きのうち99.4%で、押印を廃止することが決まっています。残る0.6%はどんなものか、というと、不動産を買ったときに、法務局で登記申請をするときなど、重大な損害が起こるかもしれないような場合などです。
そして、この流れを受けて、ついにこの9月から、協議離婚の離婚届も「本人の署名のみ」で届け出ることができるようになりました。本人がフルネームを自筆で署名すれば、印鑑をおさなくてもオッケー、ということになったのです。
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離婚届の用紙は変わっていません。押印欄は今までと変わらずあります。「ハンコが押されていなくても受理しますよ」ということです~
離婚というと、
まずは役所に用紙をもらいに行って、ふたりで記入して、神妙にハンコを押して、証人2人にもハンコを押してもらって、役所に出しに行く。
そんな流れのイメージかもしれませんが、今の段階で、
ホームページから離婚届をダウンロード、夫婦と証人2人の自筆フルネーム署名だけでもオッケー、これを役所に行って提出
というところまできています。
そして将来的には、離婚届の提出もオンラインでできるようになるのだと思います。
離婚届の脱・はんこについては、賛否両論ありますが、個人的には、すこし複雑な気持ちを感じながらも、現代社会の流れに沿った改革なんだろうなと思っています。昭和生まれの私は、「はんこを押す」ことの象徴的な意味合いは、日本の文化の現れだと思って生きてきました。でも、その意識がだんだん薄れてきている今では、離婚届に印鑑を押す・押してもらう、という手続きがあってもなくても、たぶん離婚の意思に影響はないのではないでしょうか。
ただ、9月から印鑑が不要になった、といっても、
「離婚という大きな節目なのだから、印鑑を押したい」「大きな決定には印鑑を押すものだ」
という方は、いままでどおり、離婚届に印鑑を押して提出されるといいと思います。
離婚届は、「紙切れ一枚」というものではなく、大きな決意を表す重たい書面です。丁寧に署名をして押印をするということは、自分の決心を再確認して、今までの関係に区切りをつける精神的な儀式という側面もあると思うのです。