養育費の不払いは、子どもの貧困につながります

2018年の子どもの貧困率(17歳以下)は13.5%(2020年の厚生労働省のデータより)。約7人に1人の子どもが貧困状態にあるということになります。

そうはいっても、私自身正直なところ、街で見かける子どもたちを見ていてもそんな実感は湧いてきません。日本の「子どもの貧困」は、目に見えにくいのです。

ところで、「貧困状態」とは具体的にどういうことか、ご存じですか?

貧困の定義は国によってさまざまなのですが、日本での「貧困」は、「高所得者と低所得者の中間値を基準としたときに、その半分の所得で生活している人」のことをいいます。おおよそ年収122万円以下、月収で10万円ちょっと、という感じです。扶養の範囲で働いているパートの収入とだいたい同じです。

これで衣食住をまかなうのは難しいだろうな、と容易に想像できますね。

貧困家庭でひときわ目立つのが、離婚後の母子家庭です。毎日生活するだけで金銭的に精一杯、貯金に回す余裕がない。そのうえ毎日の子育てに追われてしまって、収入アップにつながるスキル習得には手が回らず、収入を上げることができないという悪循環に陥ってしまう方も多くいます。

7人に1人の子どもがこういった家庭で育っている。これは深刻な事態だと思うのですが、なにぶん外から見えづらいので、必要な支援がなかなか届きにくいのだそうです。

さらには、貧困生活は子どもの心にも大きな影響を及ぼしてしまいます。

最近では、「子ども食堂」や「無料の学習塾」など少しずつ支援の輪は広まってきていますが、それでも、毎日の食事を十分に食べられない、必要な学用品を買えない、進学を断念する、修学旅行などの学校行事に参加できない、体調不良でも病院に行けない、など、「家にお金がないために、自分だけできない」ことで、子どもたちは精神的につらい思いを抱えてしまうのです。

こうなってしまう大きな原因は、養育費を支払わない父親が多いことにあります。養育費の支払いを受けている母子は、たったの2割なのです。もし養育費がきちんと受け取れていれば、母親ががむしゃらに働くこともないでしょう。もっと子どもと向き合う時間がとれるでしょうし、子どもも安心して遊びに勉強に取り組めることでしょう。

子どもが健やかに成長するために、金銭面で支えるのは親の役目です。たとえ離婚したとしても、子どもに対する責任は変わりません。

離婚の際には、養育費に関してしっかり取り決めをすること、途中で支払いがストップしてしまった場合に備えて、強制執行ができる形にしておくことがとても大切です。