ただ自分の権利を主張するだけでは、スムーズな話し合いはできません
こちらから離婚を切り出した場合、まずはパートナーに離婚を承諾してもらえるかどうかがすべてのスタートです。離婚することにお互いが納得できたら、その次に子どものことや財産分与のことなど、細かいことを決めていくことになります。
話し合いをしていく上では、法律の知識が欠かせません。例えば、パートナーの行ったことが、法律上の離婚理由になるかどうかは、何より大切な視点ですし、養育費や婚姻費用の額は、何を参考にどうやって決めたらいいか、などの知識も必須です。
特にアスペルガーのパートナーと話し合いでは、「ゆるぎない客観的根拠」を示すことは、話し合いをうまく進めるための大きな助けになってきます。なぜなら、法律の根拠条文や裁判所の算定表などの「目で見える、公正中立な文書」が、パートナーの理解を補充することもめずらしくないからです。
そうはいっても、パートナーに納得してもらうための根拠をそういった無機質なものだけに頼りきらないことがとても大切です。
協議離婚の話し合いは「論拠」だけではスムーズに運ばないことが多いです。正しいことを主張していても、相手の気持ちを頑なにしてしまうこともあるし、正しさは伝わっても気持ちの上では納得できないという状態にさせてしまうこともあります。
そうなってくると、いくらこちらが正当な権利を主張していても、話し合いは暗礁に乗り上げてしまうこともあるのです。
では、「正当な根拠」のほかに求められるものは何か? それは「パートナーへの気持ち」です。
離婚の話し合いは、お互いがお互いの気持ちを思いやりながら、婚姻中の生活をひとつずつ整理し、離婚後のそれぞれの生活を具体的に組み立てていく作業です。
話し合いは「勝ち負け」ではなく、共同作業なのだという気持ちを持ってほしいと思っています。離婚の話し合いをそう捉えることで、自分の権利の主張のしかたやパートナーへの態度も自然と変わり、結果としてスムーズな話し合いにつながることでしょう。