帰国受験の学校選び

中学受験を帰国枠で受けるかたは、そろそろ受験校を決める時期でしょうか。

英語の学習テキストとイヤホン

我が家は、帰国生入試や英語入試を使って、中学受験、高校受験、大学受験を経験しました。その過程で、親子ともにいろいろ悩み葛藤もしたので、今でも町で帰国英語塾のリュックを背負って歩いている子を見かけると、心の中でエールを送ってしまいます。

「帰国受験」とひとことで言っても、それぞれの家庭や子どもによって千差万別で、偏差値などで目に見える基準がないぶん、悩みも多いと思います。誰かに相談するにも、その方のお子さんと自分の子どもとでは状況が違うことも多いので、一般受験に比べると、参考になるデータが少ないのも不安になりますよね。

さらに、今はコロナウイルスの影響で、来校型の説明会や学校行事の見学などもできない状況なので、学校選びもよりいっそう難しくなっているのではないでしょうか。

帰国受験での学校選びの難しさのひとつは、実質的にある程度選択肢が限られているところにあると思います。通える学校のなかで、家庭の方針や子どもの雰囲気に合いそうな学校はどこなんだろう?さらに、滞在年数などの受験資格、勉強している教科、子どもの現在の英語力、将来の希望と進学実績がかけ離れていないか、英語の取り出し授業の有無とそのレベルなど、いろいろと考えればきりがないですよね。我が家は、最後には娘と親の直感で決めてしまいました。

ときどき「帰国後、子どもの英語力は伸びる?落ちる?」と聞かれます。これは、帰国する場所や、本人が英語を維持伸長したいと思うかどうか、通う塾にもよるし、帰国後の時間の使い方にもよるので、一概には言えないかなと。

ただ、年齢が上がるにつれて社会問題に興味を持ち出すなど、興味関心が大人に近づいていくことが英語力に及ぼす効果は大きいように感じています。

例えば、英検1級の長文トピック(「環境問題」「移民問題」「宇宙開発」などなど)について見てみると、小学校低学年の頃にはよくわかっていなくても、高校生になれば、現代社会の授業で学ぶ知識と一般常識の範囲で、自分の意見をもっている子が多くなりますよね。英語力の伸びを感じられるかどうかは、社会的な興味関心を表現出来る英語力を、それまでのあいだ維持できているかどうか、に左右されるのかも、と感じています。

維持の方法は、学校なり塾なり、お友達からの刺激なり、いろいろあると思いますが、英語力がある程度キープできていれば、あとは「発信したいことのレベル」次第なのではないのかな、と思うのです。(私は英語の先生ではないので、あくまで個人的な感覚ですが。。。)

というのも、娘の学校の子どもたちを見ていると、英語力と知的好奇心が結びつく年齢になったとたんに、急に英語力が新しいステージに上がったなと実感させられるのです。娘自身の例でいうと、小4になる直前に帰国したので、帰国時はGrade3レベルの英語力でした。けれど、高校生になった今、英語で発信する内容は「高校生レベル」に成長しています。

同じことは、義務教育の8年弱をアメリカとカナダで過ごし、日本の大学に入学した息子にも当てはまるようです。日本で暮らしながらも大学のアカデミックな内容を英語で学ぶことで、英語力自体は上がったと言っています。

なので、「帰国すると英語力はどうなるか」という質問に対しては、「子どもの知的レベルが成長するにつれて、英語力も伸びると思うよ」、というのが私の答えでしょうか。

今、駐在されている方は、自由に帰国もできず、心細い状況のなかでがんばっていらっしゃることと思います。そして、日本国内にいる私たち以上に、少し先の状況さえわからない不安を抱えて生活されていることでしょうね。受験と言っても、移動や宿泊にも、これまで以上に神経を使うでしょうし、調整しなくてはいけないことも多くて大変なことと思います。

遠い地で暮らす皆さまとお子さまの安全と健康を、心よりお祈りしています。