嫌がらせがエスカレートする姑を理由に離婚できる?

離婚カウンセラー養成講座をされている方から、「見てみる?」と、ケーススタディの課題をいただきました。そのなかのひとつが、「嫁姑問題」。血がつながっていない、という垣根って大きいんですよね。夫婦は「愛情」という気持ち面での結びつきがあるけれど、それがない「嫁姑」には、どうしても隔たりが生まれがち。

おばあさんと嫁の嫁姑問題

ケーススタディは、要約するとこんな感じです。

夫の希望で、姑と同居をはじめました。当初は優しかった姑が、だんだん食事の味や家事などに嫌味を言うようになりました。最近では、私の人格を否定するようなことも言ってきます。精神的に限界です。もう別居したいです。

これに対する、私から妻への(架空の)アドバイスはこちら。

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あなたのつらさを、だんなさんは分かっていますか?
今の状況を改善するために、何かしてくれていますか?
同居を提案したのはだんなさんなのですから、あなたが同居に同意したとはいっても、だんなさんには、ご自身のお母様とあなたとの関係がうまくいくように、配慮することが求められています。
 

もし今の状態をだんなさんがわかっていらっしゃらないのでしたら、お姑さんの発言をそのままだんなさんに伝えて、あなたはもう精神的に限界だということをお話してみてください。

お姑さんは、だんなさんの前とあなたの前とで態度を変えるような二面性のあるかたでしょうか?そのような場合だと、だんなさんはなかなかあなたの話を信じてくれないかもしれません。お姑さんの発言をできれば録音する、録音できない場合でも、発言の日時とことばそのままを「 」(カギかっこ)で記録し、今の嫁姑のリアルな関係を示して理解を求めてみてくださいね。

真実を知っただんなさんが、それをふまえて姑にどう働きかけるか、まずは様子を見てから、別居をするか考えてもいいのではと思います。

それに対して、旦那さんが今の状態を知っているのに見て見ぬふり、ということでしたら、話は変わってきます。

あなたとお姑さんの折り合いが悪いのを知っていながら何の対策も取らない、暗黙のうちに自分の親である姑の味方になっている、という状態は、夫婦間の信頼関係がもう破綻しているともいえます。あなたがもう精神的に限界、ということでしたら、別居も選択肢のひとつだと思います。

旦那さんと姑のふたりを合わせて責めたくなる気持ちはわかりますが、法律の面で考えると、姑がいくらひどい人でも、それがそのまま夫が悪いということにはならないのです。そうではなく、あなたの苦痛を知っている夫が何もしてくれない、ということが、正当な別居の理由として必要です。

すぐに別居したい、というお気持ちはよくわかりますが、いきなり家を出てしまうと「同居の義務を怠った」ということにもなりかねません。
あなたとお姑さんとのあいだに、夫の橋渡しがあるのかないのか、をまずは考えてみましょう。

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ここまでが、もし私がこの相談を書面で受けたら、というときの解答です。(口頭だったら、ちょっと違う言い方をするかもですが)

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ところで、もしこの夫にアスペルガーの傾向があったとしたら?

この場合は、アドバイスがちょっと変わってきます。どう変わるかというと、「だんなさんには、調整役や橋渡し役を期待するのは難しいですよ」となる。

実際、同居でも別居でも、アスペルガー傾向の夫と姑の関係性で悩んでいる方はすごく多いです。私の思う理由を挙げてみると、

・状況にあわせて「息子」と「夫」を使い分けることが難しい

・変化に対応するのが苦手なので、結婚しても今までの母子関係をそのまま継続している

・小さいころから母親の育児負担が大きかったことで、母子関係が密になっている

・いわゆる「普通の家庭」像のイメージがない、または「妻の思う理想」とは違うイメージを持っている

・妻の困り感に気がつかない

嫁姑問題は、離婚相談の典型的なお悩みです。でも、家庭の状況によって、少しずつお答えは変わってきます。「まずは夫への理解を求めてみましょう」というのは間違ってはいないです。でも、アスペルガーの傾向がある場合のお答えでは、それだけでは足りない。「理解してもらうのは結構難しくて、時間がかかる」ということもお伝えしたうえで、そのほかの状況とを天秤にかけてもらう必要があるのです。