養育費をしっかり受け取るための対策【離婚前編】

養育費は子どもが健全に成長するための子どもの権利

養育費は、子どもが健やかに育つために必要なお金です。子どもの権利でもあり、親の義務でもあります。

厚生労働省「平成28年度全国ひとり親世帯等調査報告結果」によると、

【養育費の取り決めをしている夫婦の割合】

  • 平成23年:37.7%
  • 平成28年:42.9%

【養育費の取り決めをしている夫婦の割合】

  • 平成23年:37.7%
  • 平成28年:42.9%

【ひとり親世帯の養育費受取状況(平成23年・28年)】

  • 現在受けている:19.7%・24.3%
  • 過去に受けたことがある:15.8%・15.5%
  • 受けたことがない:60.7%・56.0%
  • 不明:3.8%・4.2%  

この統計から、

  1. そもそも養育費の取り決めをしていないケースが多い
  2. 取り決めをしていても、継続して支払われることにはつながらない

ということがわかると思います。

養育費の取り決めでは、「いくらをいつまで」などに加えて「履行の確保手段」(どうすれば養育費をしっかり払ってもらえるか)をしっかり考えることが、とても大切です。具体的に、「離婚前にできる対策」「養育費が滞ったときにできること」にわけて、みていきましょう。

まずは、離婚前にできる対策についてです。

【養育費の履行確保のための事前対策】

1.一括払い

一括でもらえるので、滞るということは起こりえない方法です。ただ、養育費を払う側(たいていは夫)に十分な経済力がないと難しいです。公正証書に「追加で請求しません」という条項を入れることが多いので、将来事情が変わっても、後からの増額請求はできません。

2.強制執行に備えておく

公正証書、調停調書、審判書、判決書などの債務名義があれば、養育費が支払われなくなったときに、強制執行を申し立てることができます。このときに、よく利用されるのは、「給与の差押え」です。給与を差押えられると、会社にも「養育費を支払っていないこと」が明らかになるというプレッシャーは、養育費をしっかり支払おうという気持ちへとつながります。

3.ペナルティを定めておく

養育費の不払いがあったときのペナルティを定めることもあります。(例えば、滞ったら、今は分割払いにしている財産分与・慰謝料を一括で支払う、など)

4.保証人をつける

 積極的に利用されてはいませんが、離婚の理由が義務者(主に夫)にあって、経済的に安定しないケースなどでは、夫の両親が連帯保証人になることを承諾する可能性が、あるかもしれません。

1~4のなかで、どれならできそうかな~、と考えてみてください。離婚協議書を公正証書にすることが、いちばん現実的だ、と、お分かりいただけるのでは、と思います。

 明日は、今まで支払われていた養育費が止まった。。というときには、どうすればいいか、書いていきますね。