発達障害に理解のある専門家に、離婚相談をする意味

きのうは、初・clubhouseでした。医師・カウンセラー・特性のある子のための学習塾の先生・障害にかかわる金融信託などに詳しい方、など、いろいろな専門家の方と、夫や妻そして子どもの発達障害について、お話させていただきました。clubhouseはリア充系キラキラSNS、いう先入観があったのですが、そんなことないのですね~。学びの場が広がっているなと感じました。

きのうのclubhouseでも少しお話させていただいたのが、「発達障害と離婚について」

アスペルガーの夫は離婚率が高いです

夫婦のどちらか、または両方が発達障害をもつ場合、離婚の話し合いが難航することが、けっこう多いです。(逆に、驚くほどあっけなく離婚成立、ということもありますが・・・)

お互いに離婚に同意している場合は、難航、といっても、「揉める」という感じではなく、

「話が横道に・・・」

「あのときはこうだった、こう言ったという、過去の出来事のレビューに終始」

「メールでやりとりしたら、超長文」

「気になるポイントはそこなのか!?」

など、

「ああ、特性から来ているなあ」という感じの難航が、けっこう多い印象です。

私の感じるいくつかの理由を挙げると、

  1. 夫婦の問題意識に大きなズレがありがち
  2. 話合いの思わぬところに、引っ掛かりポイントがあることも
  3. 話し合うこと自体が心情的に難しい

1について

そもそも「離婚に同意するかどうか」。ここが最初のハードルです。

発達障害、特にアスペルガーの特性を持つ方は、「自分が困っているタイプ」と「まわりが困っているタイプ」に大きく分かれます。離婚につながるのは、「まわり=配偶者が困っているタイプ」に多いのですが、その場合、本人が「困り感」を抱えていないので、「離婚をしたい」といわれても、その理由に全く心当たりがない。なので、離婚に同意してもらうには、本人に納得のいくような説明が必要になってきます。

2について

特性は100人100色なので、話し合いがどう進むかは、予想がつきません。

ひとつの例ですが、「ことばの意味を正確にとらえること」にこだわりがあるだんなさんがいらっしゃいました。理系の専門職でいらっしゃるその方は、「面会交流」の「交流」という部分に引っかかってしまうために、話し合いのポイントがずれてしまうのです。

その方にとって、交流、ということばからは、「電気の交流」をイメージされるようでした。「面会交流」はそうではない、と奥さまが伝えると、だんなさんは「交流」の意味をネットで調べられ、

互いに行き来すること。特に、異なる地域・組織・系の人々が行き来すること。また、その間でさまざまな物事のやりとりが行われること。(デジタル大辞泉より)

この「異なる組織・系」ということばに、さらに納得がいかなくなってしまいました。同じ家族なのだから、異なる組織・系というのは違うだろう、と。

もちろん、だんなさんは、本来の「面会交流」の意味も意義も、決めるべきことも理解していらっしゃいます。ですが、通常ならば「面会交流の条件等」を話し合うべきところを、

「交流ということばの意味とは」

「なぜ、子どもと会う取り決めに『交流』ということばを使うのか、の制度趣旨」

「法律用語全般への不満」

などに、話は脱線してしまいます。

日常がこんな感じ、というのが離婚理由のひとつの奥さまにとっては、話し合いが横道にそれてばかりでうんざり、とおっしゃっていました。

3について

妻としては、離婚、という大きな決断をするにあたって、今まで自分がどう感じてきたかそして、夫はどう思うか、どう考えるか、という「気持ち」を確認したい。けれど、夫は、物理的なことや金銭的なことなどが気になる様子。夫から、自分や子どものことをどう思っているのか、が感じられずに、もやもやする。

ほかにも、自分の気持ちを訴えても、論理的に反論されるので、言いたいことが通らない。

というお話もめずらしくありません。

上に挙げたのは、ほんの一例です。

発達障害をもつパートナーと、離婚について話し合う上では、「相手の特性の理解」が必ず必要になってきます。それがないままに話し合いを進めると、気持ちがいっそう傷ついたり、話し合いが長引いてしまったりしてしまうことも。。

その結果、いちばんよくないのは、「もう話し合うのも嫌だから、さっさと離婚だけしてしまおう」といって、別れることを最優先にしてしまうことです。

なので、そのようなパートナーとの離婚では、障害に理解のある専門家の手を借りることをおすすめします。

上の例でいえば、そういった第三者がだんなさんのことばへのこだわりをふまえて、手段や声掛けのしかた等を工夫して説明することで、だんなさんは「今考えるべきこと」に集中しやすくなり、スムーズな話し合いに一歩近づけることでしょう。

発達障害のからむ離婚の場合、夫婦のどちらかが悪いわけでもなく「ただふたりの組み合わせが合わなかっただけ」です。この前提があるかないかが、

揉めるか揉めないか・協議離婚できるかできないか

につながってきます。

揉めずに話し合って、円満に離婚できるよう、奥さまに対しては特性というものや特性との付き合いかたを説明でき、発達障害当事者に対しては、わかりやすい、適切な言葉かけができる弁護士・行政書士を探してみてくださいね。第三者の存在によって、おふたりだけで話されるよりもゴールまでの道筋が見えやすくなりますよ。(※紛争性がある場合は、行政書士ではなく弁護士に!)