離婚の慰謝料の額のあいまいさ

不倫の慰謝料の相場

夫婦関係における慰謝料は、有責配偶者に対して請求できるお金ですが、その一番の特徴は「値段に決まりがない」こと。

「これをしたら、慰謝料はいくらです」というような、客観的な基準がありません

これに対して、慰謝料が客観化されているものもあります。交通事故の損害賠償額(慰謝料)です。

交通事故を扱う士業必携の、『民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準』という本があるのですが(赤い本なので、通称「赤本」と言われています)、これをみれば、自分の状況ではいくらが妥当か、客観的に知ることができます。もちろん、この本は個人でも買えます。

では、客観的な基準がない夫婦問題の慰謝料の金額は、どうやって決めるのか?というと、「いろいろ考慮して決める」としかいいようがありません。

婚姻期間や有責の程度や悪質性などを考慮しつつも、実際のところは、

いくら払えるか(支払う側の資力)

早期解決を望むのか、じっくり争うのか

いちばん大きく影響してくる要素は、このふたつ。

ですので、年収3000万円の夫が不貞行為をし、夫も早く別れたい、キャッシュなら持っている、という状況で、慰謝料の額が1000万円になった、という話も聞きました。(ちなみに、相場は、ごく普通の家庭なら、100万~300万といったところです)

また、「慰謝料」という名目を出さずに、離婚の際の財産分与に組み入れることも、よくあります(「慰謝料的財産分与」といいます)。この意図は、不貞行為をした側のメンツ・体裁を立てることです。「名を捨てて実を取る」だよね、とおっしゃるかたがいて、なるほど~と思いました。

慰謝料には、相手を懲らしめてやりたい、という感情が乗ってきがちです。それが、泥沼離婚に足を踏み入れる第一歩になってしまうことも。慰謝料について考えるときには、つらいですが「心の対価をお金で換算するのは難しい」ということを受け入れ、気持ちの整理と慰謝料の額を、切り離して考えてみてくださいね。