発達障害と空間の構造化
「構造化」ということばを、発達障害やグレーゾーンのお子さまを育てている方は一度は聞いたことがあるかもしれません。
構造化とは?
構造化とは、課題や予定・空間を区切って、視覚的にわかりやすくすることで、余計な混乱を防いで、自分は何をするべきかをスムーズに理解できる、というものです。
例えば、
「靴を脱いだら、きれいにそろえなさい」と注意する代わりに、玄関の土間に、靴の形にビニールテープを張っておくと、自然とその場所に靴を置けることが多いです。
「脱いだ靴はそろえること」と文章で書いて張っておくよりも、わかりやすさが違うと思いませんか?
構造化のキーワードは「個別的」「効率的」「安心」「混乱を避けられる」
「構造化」は主に療育の現場で使われる言葉ではありますが、そのメリットを感じるのは子どもだけではありません。
構造化によって、やるべきことリストや流れ、空間の使い方の見通しがきくようになり、日常生活がスムーズになるといわれます。これは、特性の有無や年齢にかかわらず、すべての人に分かりやすいものです。ユニバーサルデザインの考え方とも似通っていますね。
自宅の構造化~特にリビング
ところで、自宅の空間の構造化を考えた場合、一番難しいのが「リビング」だと思います。
理由は、リビングは、食事・テレビ・リラックス・勉強など多目的に使われるため。さらに、家族によってリビングの使い方や使用時間が違ったりします。
限られた空間をうまく使って、家族みんなが快適に過ごすためにはどうしたらいいでしょうか?
1場所1行動
家族それぞれが大なり小なり発達系の特性を持つ我が家では、 アメリカ・ノースカロライナ大学が提唱している、ASDとその家族がよりよく暮らすためのプログラム、通称「TEACCHプログラム」を参考に、
「ひとつの場所でひとつの行動」を心がけています。
例えば、
ダイニングテーブルは食事する場所
子どもたちが勉強するのは子ども部屋
リビングはみんなが「くつろぐ」場所
ちなみに、子どもが小さい頃は、もっと細分化した構造化を心がけていました。
でも近ごろは、空間の構造化をざっくり意識するくらいで、落ち着いています。
「自宅で仕事」が、構造化を乱している・・・
このように、もともと、勉強や仕事は基本自分の部屋で、というのが、我が家のルールでした。
けれど、私には自宅に「自分の部屋」も「プライベートな空間」がありません(我が家の個室の割り振りは、「夫・子ども1・子ども2・夫婦の寝室」)。
事務所を借りているものの、コロナ禍で外出を控えるようになり、ここ最近はリビングの一角に机を置いて調べ物をしたり、オンライン講座を受けたりしています。
この「私の自宅作業」が、我が家が今までずっと意識してようやく確立した「リビングの構造化」を崩しています。
私がリビングで、買い物袋と専門書を同時に広げて、ご飯を作りながらPCしたりしていると、「落ち着かない」と。
(私もほうも、換気扇やシンクの水道音・家族の話し声などが聞こえるリビングでの仕事、落ち着かないですが)
もちろん、今までも、一時的にルールが崩れる時期はありました。
例えば、
夫のチェック前(資料を広げて勉強する必要あり)
私の行政書士受験前(参考書だらけのリビングで勉強)
でも、私の「リビングで仕事」は、無期限に続くかもしれないです。ここは思い切って、リビングに「私の仕事スペース」という区切りを、家族全員で共有するしかないでしょう。
ルールは固定せず、柔軟に
うちの家族は、変化を受け入れるのにちょっと時間がかかりますが、
「私の仕事を応援してくれていないわけではない」(表現がややこしいけど、まさにこんな感じです)
少しずつ意識を更新してくれていると感じます。
私もできる限りの工夫をして、メリハリのある働き方・時間の使い方を模索していきたいと思います。
発達障害にかかわるご相談、お受けしています
医師・心理師などではありませんが、公私ともに多くのご相談を伺っています。障害のあるお子さまの「親なきあと」問題のご相談、ご夫婦関係のご相談、お受けしています。前向きに修復を目指す方の応援もいたします。お気軽にご連絡ください。