熟年離婚と年金分割制度
いわゆる熟年離婚の場合、「年金がいくら入るのか」は、離婚後の生活を考える上で大きな要素になってきます。なので、離婚の際には、妻が「年金分割制度」を希望することがとても多いです。
そもそも年金分割制度とはどんなものなのでしょう?
婚姻中は、給料に応じて厚生年金・旧共済年金保険料が天引きされています。そして、給料の多い側には、年金保険料を納めた記録が多くたまっています。この記録を、離婚するときに夫婦で分け合うことができるという制度が年金分割です。
勘違いしやすいのですが、「年金」を「分割」する、という名前のおかげで、支払われる年金自体を分け合うように思ってしまいがちです。けれどそうではなく、分け合うのは「記録」だということに注意です。
離婚後は、夫婦それぞれが分割後の年金記録に従った年金額を受け取ることになります。
年金分割制度は比較的新しい制度です
年金分割制度は平成19年に、夫婦の公平を実現するために導入されました。なぜなら、それまでの制度の引き起こす不公平さが社会問題になっていたからです。
例えば、夫が外で働き、妻が専業主婦だった場合、夫が存分に働いて年金保険料を納めてこられたのは妻のサポートがあったからこそといえます。また家事や育児を任されていたために男性と同じように働きたくても働けなかったケースもたくさんあります。
けれど、そういった家事労働が年金に反映されることはないために、以前は、離婚後には夫だけが厚生年金を全額受給できてしまっていたのです。(そして、その分の調整を財産分与等で行っていたため、大変面倒だったと聞いています。)
年金分割は自動で分割されるわけではありません
年金分割を受けるには手続きが必要です。
年金分割を提案するのは、ほとんどの場合、年金分割を受けると得をする側(多くは妻)になると思います。
自分の権利を行使するために、そして離婚後に待ち受ける老後の生活に備えるために、年金分割の制度が「どんなものか」「どうやって手続きするのか」を知っておく必要があるでしょう。
ちょっとややこしいところもある年金分割制度ですが、これから少しずつ分かりやすく見ていこうと思います。