アスペルガーと生活音の大きさ
パートナーの発達障害と夫婦問題は、切っても切れない関係にあります。
私は普段、離婚協議書作成のお手伝いをしていますが、「別居」や「離婚」に至るほど決定的なわけではないけれど、パートナーのこんなことがどうしても気になる、というお話を伺う機会も多いです。
そんな例としてとてもよく聞くのが、「生活音」について。
アスペルガーやADHD等の人は、生活音が大きい?
私は医療職ではないので、はっきりと言うことはできません。ですが個人的には、アスペルガーやADHDなどがあるかたは、生活音が大きいことが多い、と感じます。
我が家でいうと、
- ドアをバン!と閉める
- パソコンのキーボードのカチャカチャカチャ音と力強いENTERキー
- 階段や廊下をどしどし歩く
- 階段の壁など、あちこちにぶつかって歩く
- 物を運ぶときには、床や壁に傷つけることなど気にしない
- 物を置く動作で音を立てる
- フォーク・ハサミなど、とにかく物をよく落とす(深夜にも)
- 何かが見つからないことが多く、ないない!とパニックになる
- 体から出る音(げっぷ・おなら・食べるときの音・くしゃみなど)
我が家はあまりありませんが、ひとりごと、という話もよく聞きます。
自分の出す音に関心がない?
発達障害傾向の方の出す生活音が大きい理由を、私なりに考えてみました。
- 動作をしながら音に配慮する、というマルチタスクが苦手
- 手先の不器用さのせい(感覚統合のせい)
- 何かに集中しながらの「ながら動作」が多い
- あわてていることが多い
- 人の立てる音には敏感でも、自分の出す音には無頓着
- 自分の出しているこの音が、社会的には「嫌われる音」だという認識に納得いかない
- 自分は気にならないからべつに構わない、という自分ルールがある
- 音を立てないようにする、ということの重要性が低い
生活音の大きさは「わざとじゃない」
人が嫌がる音を出しているということに自分では気がついていない場合は、いくら指摘しても「え?」という感じです。
納得感がないと行動に移さないタイプの場合は、「その音、気になるからやめて」と言っても、自分目線で「僕は気にならないよ」ということも。
自分の出す音が嫌な人がいる、と理解してもらうこと
生活音が大きいと、生活空間がワサワサしてしまってどうにも落ち着かないので、医師に相談したことがあります。
すると、先生がおっしゃったのは、
「わざとじゃないことを分かってあげて」ということでした。そのうえで、繰り返し話して、
「自分の音が不快な人がいる」と納得してもらい、少しずつ自分の音に注意を払うように変わっていくのを見守りましょう、ということでした。
それ以来、折に触れて「キーボードもう少し静かにね」「階段ぶつからないように歩いてね」などと逐一声掛けを続けています。
効果がでるのはいつになるでしょうか。一般的に、発達障害傾向の方の変化はとってもゆっくりしたペースなので、おおらかな目で見守る必要がありそうです。
家庭も小さな社会
家の中くらい好きなようにリラックスしたい、というのも分かるのですが、私は家庭も小さな社会だと思っています。家族が気持ちよく過ごすためには、お互いの気遣いが必要だと思うのです。
ただ、好きな音、苦手な音は、人それぞれ。
例えば、夫は、私の大好きな「水の音」の環境音楽が苦手です。
ご近所の野良猫避け超音波を出す機械、私は何とも思わなくても、夫は頭を抱えて嫌がります。
私はパソコンのファンの音が苦手ですが、夫は全然気にせず重い処理をしています。
私は近所の古い家が朝晩に雨戸を「ガラガラ~」と開け閉めする音が大好きだけど、うるさい、というご近所さんもいるようです。
音の好みがまったく同じというのはありえません。
そして、そんな他人どおしが同じ空間で暮らしている以上、お互いに歩み寄ることも必要なのでしょう。
基準は「社会的なマナー」、外でそれをやってもオッケーか
発達障害傾向のパートナーやお子さまとの生活では、生活音も空間も「なんだか落ち着かない」と感じることも多いかと思います。
そんななかで、気になる生活音については、
「マナー的によくない」
「外でそれをやったら、ほかの人を不快な思いにさせる」
というラインを伝えることが大切なのではないでしょうか。
そのうえで、寛容な気持ちを持ちつつ、ゆっくりとした変化を待ちながら妥協点を探ることになるのだと感じます。
パートナーの生活音にお悩みの皆さまも、いろいろと試行錯誤してみてくださいね。行き詰ったり、誰かに話を聞いてほしいというときには、ご連絡ください。
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