パートナーが「離婚はしたくない」というときに考えるべきこと

パートナーに離婚を切り出したところ、「離婚はしない」の一点張りで受け入れてもらえないことがあります。そんなときは弁護士に相談だ!と思うかもしれませんが、ちょっと待って。こちらが弁護士をつけると、パートナーも弁護士をつけてくるでしょう。そして一気に戦闘態勢に突入します。そうなる前に、まずはパートナーの本心を探ってみましょう。

パートナーが離婚を拒否する理由にはふたつのパターンがあります。

パターン1

本音は離婚に応じてもいいと思っているが、自分に有利な離婚条件を引き出すために拒否している。

この場合は、こちらも条件を譲らないでいると、いつまでたっても硬直したままの我慢大会になってしまいます。どんどん長引いて、結局は待ちきれなくなった方が条件を譲ってしまうことにもなりますが、離婚すること自体は可能であることが多いです。

もしパートナーがこのタイプなら、自分は離婚に何を求めるのか(譲れない条件は何か、一刻も早く別れたいのか納得いくまで話し合いたいのかなど)を明確にしたうえで、優先順位を考えて交渉することが大切です。裁判所が公表している養育費算定表などの公的な資料を見せ、客観的に妥当な条件で合意したい、と伝えましょう。

パターン2

自分は全然悪くないのだから、離婚を切り出されるいわれはない。納得がいかないから離婚には応じない。

このパターンは手ごわいです。現状を変えたいわけではないし、自分に非はないと思っているので、離婚して負担を強いられるなんて到底納得いかない。そして、自分に困り感がないアスペルガーのパートナーに当てはまることも多いのが、このパターンです。

この場合には、「もし裁判になったとしたら、離婚が認められるか?」という視点で考えてみることが何より大切です。 裁判で離婚が認められるだろう場合は、必ずしも話し合いで離婚に応じてもらう必要はないということになります(ただし、弁護士費用や精神的負担や時間がかかってしまうことに注意)。

裁判では離婚が認められない場合、離婚をするためには、とにかくふたりの話し合い(または調停)で「離婚しよう」「そうしよう」という合意に達する必要があります。どちらかが拒否している限り、離婚は成立しません。法律で決められた離婚原因がないのだから、話し合いでどうしても離婚を承諾してもらう必要があるのです。

相手に「うん」といってもらうためには、できうる限りのことをするしかありません。今までの感謝を伝えること、離婚したいと思った理由を丁寧に説明すること、パートナーは離婚後にどのような生活をすることになるかを具体的に説明すること。そして、こちらが離婚条件を譲ることで、「離婚したくない」というパートナーにどこまで歩み寄ってもらえるか。究極的には、条件を譲ってでも離婚に応じてもらうことを優先するか、離婚することをやめるのか、ということになってきます。

とにかく、裁判で離婚が認められるかどうか、が大切な視点です。(裁判で離婚を認めるか認めないかの基準についてはこちら

・裁判で強制的に離婚ができるなら、協議で了承してもらえなくても、離婚の望みがある。

・裁判で認められないのなら、話し合いで了解してもらえない限り離婚できない。

(ちなみに、行政書士は紛争性のある事例を扱えません。調停や裁判にすすむ場合には、弁護士案件になります。)

アスペルガーを理由に裁判で離婚できるのか、については改めて書きたいと思います。