趣味は何ですか
「趣味は何ですか?」と聞かれるのが苦手な時期がありました。
周囲に多才な人や趣味を極めている人が多いからかもしれません。アスペルガーの夫も、趣味から始めたものを自分のライフワークにするほどの実力者です。私は、そういうレベルの趣味がある人がうらやましく、同時に、これが趣味です!と言うためには、極めていたり頻繁にやっていたり、ちょっとめずらしかったりする趣味でなくてはいけないように感じていたのです。
そうなると、私には、対外的に趣味と言えるものがない。運動は苦手、観るのもそんなに、美術系クラフト系の才能なし、カラオケは聴く専門。旅行は好きだけど年中出かけているわけでもないし、AmazonプライムやHuluで映画やドラマを見るけれど全然語れないし、本を読むのは大好きだけど「趣味は読書」って無難すぎだし。
「これぞという趣味がある人=充実した人」「無難な趣味しかない・無趣味な人=つならない人」と思っていたときもあります。自分には「これぞ」というものがなんでないんだろうと。
でも、ある日気がつきました。ほかの人が「趣味は映画鑑賞です」「本を読むことです」というのを聞いても、「つまらないひとだな」とは決して思わない自分がいるのです。「旅行が趣味」という人に「最近行ったところでおすすめはどこですか?」と聞くと、「最近忙しくて全然旅行に行けなくて」と返ってきたりする。でも「それって旅行が趣味って言えなくない?」とは決して思わない。むしろ「私もそんな感じです!」と、共感しかありません。
なんだ~!同じような人がたくさんいるじゃん!キラキラな趣味がなくてもいいし、「趣味はなんですか」の質問にも全然身構えなくていいんだ!!それに気がついて、すごく楽になりました。
アスペルガー当事者は趣味にのめりこむ傾向にあるので、その結果、その趣味界の「第一人者」のようになっているケースがたくさんあります。そんなパートナーを間近に見てきたことで、そのレベルに至ってこそ趣味といえる、と思い込んでしまった方がいらっしゃったら、もっとゆるく考えて大丈夫。自分が楽しんでいることならなんでも、立派な趣味です。
ちなみに、今「趣味は何ですか」と聞かれたときには、「読書とか、動画を見たりとか、旅行したりとか」などと答えていますが、コミュニケーションで困ったことはありません。動画何見るの?などの話しから共通点が見つかったりすることもあります。そういえば、昔、就活をしているときの履歴書には「趣味:入浴」と書いていたのを思い出しました(しずかちゃんか!)。