事務手続き、苦手ですか?
以前にも書きましたが、行政書士事務所を開業する前の2年半、区役所の総合受付で働いていました。私の勤めていた区の総合受付では、「○○の手続きは何階ですか?」「こんな手紙が届いたんだけど」といったお客様のご質問を、毎日数百人、多いときは1000人近くお受けしています。
なかには、税金や国民健康保険の督促状が届いた!競売手続きになるって書いてある!と、あわてて駆け込んでくる方もいらっしゃいます。
そんな方の対応をしながら感じていたのが、「滞納している方のうちの一定数は発達障害なのかも。金銭的に困っているわけではないけれど、事務手続きがとても苦手なせいで、督促状が来るまで動けずにいたのでは」、ということです。
アスペルガーやADHD等の発達障害を持つ方のなかには、事務作業が極端に苦手な方がいらっしゃいます。理由はそれぞれなのでしょうが、我が家の夫を見ていると、まず開封自体がとても丁寧(どんな封書もカッターできれいに開けます)、文章を丁寧に読み込む(私はどうでもいい部分は流し読み)、さらに、細かい部分や文章の解釈のしかたに引っかかっていることもあります。
そんな感じなので、読み終えること自体が一仕事、その上「必要書類を用意して、書類に記入して、切手を貼って出す」となると、めんどくさい度が一気に上がってしまう様子です。ほおっておくと後回しになってしまうので、我が家の事務作業は私の担当です。
我が家のように、誰かが代わりにやってくれる環境にある人は問題にならないかもしれません。けれど、1人暮らしの方のなかには、封を開けることすらできない方もいらっしゃるのでは、と思うのです。振り込みをしなきゃしなきゃと思いつつもそれができない、という方も多そう。だったら、銀行の自動引き落としやカード払いにしておけばいいのでは、と思うでしょうが、事務作業が苦手な方にとっては、その手続き自体が難しいのでしょう。
滞納という事象だけを見ていると、その裏に発達障害が隠れているかも、とは思いつきませんね。でも、この方に必要なことは、納税課の職員に「次から滞納しないように」とくぎを刺されることではなくて、発達に詳しい人に「苦手に応じた工夫のしかた」を教えてもらうことなのでは、と感じるのです。